【化学屋解説】生分解性樹脂とは?わかりやすく解説!

  • 2021年7月11日
  • 2022年2月27日
  • その他
・生分解性樹脂ってそもそも何?
・土に入れてバラバラになったら生分解性樹脂??
・生分解性樹脂の定義は?

「生分解性樹脂」に関する解説になります!
生分解性という言葉が良く聞かれるようになりました。
土や海に物を捨てたらすべて分解されるもの・・・
と思われがちですが、実際は異なります。。
定義から、わかりやすくご説明いたします。

パンくん
全く生分解性を知らない人が、
生分解性樹脂のイメージを付けたい人向けの記事です。
きっちり定義から生分解性樹脂を確認します!!

このページでは、生分解性樹脂について

・生分解性樹脂とは?定義は?
・具体的にどんな樹脂??

という点について具体的にお話したいと思います。

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生分解性樹脂とは?定義は?

生分解性樹脂の定義から、生分解性を考えてみましょう。
日本において最も一般的な協会である、
日本バイオプラスチック協会(JBPA)では「生分解」を下記のように定義しています。

「生分解とは、単にプラスチックがバラバラになることではなく
微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、
最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質をいいます。」
出展:http://www.jbpaweb.net/gp/ (日本バイオプラスチック協会)

読むだけだと、そうなんだ~という感じですが、
実は色々重要なことが書いていますので、定義の中を一つずつ確認しながら、
生分解性に関して確認していきます。

定義① 生分解性とは単にプラスチックがバラバラになることではない!

生分解性をパッとイメージすると、海水や土でボロボロになっていく様子がイメージされますが、
ボロボロになるだけでは生分解性とは言えません。
なぜなら、生分解性とはプラスチックが単にバラバラになることではないからです。

バラバラになるだけだと、最近よく問題視されている
「マイクロプラスチック*」もバラバラになった結果になります。
(*マイクロプラスチック:マイクロサイズにバラバラになったプラスチック)

生分解性といわれると、よく下記のようなイメージを思い浮かべると思います。
(出展:http://www.jbpaweb.net/gp/ 日本バイオプラスチック協会より)

これは、この後にお教えする2つの定義を守ったうえでの写真だからこそ
生分解性といえるのです。
これが単にプラスチックがバラバラになるだけの場合は、
写真のようであっても、生分解性とは言えないということに気を付けてください。

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定義② 微生物の働きにより、分子レベルまで分解する!!

プラスチックの中には、海水に溶ける物や分解するものなどがありますが、
基本的にはそれだけでは生分解性ということはできません。

「微生物」の働きがまず重要になります。

微生物はプラスチックの構造(種類)によっては食べることができ、
この働きにより細かく分解できることができます。
当然ながら、微生物の種類によって食べれるプラスチックの種類は異なるため、
特殊な微生物ではなく、身近にある土や海水の中にいる
微生物によって分解される必要性があります。

また、中途半端に残る分解ではなく、分子レベルにまで分解される必要性があるので、
基本的には目で見えないところまで分解されないと、
プラスチックが生分解されたということはできません。
どんどん微生物が食べていき、無くなっていくようなイメージです。

 

横道にそれますが、実はここがマイクロプラスチックと呼ばれるものとの大きな違いで、

【マイクロプラスチックと生分解性樹脂の違い】
マイクロプラスチック⇒顕微鏡などで見ることができる
生分解性樹脂⇒分解後は目で見ることができない(分子レベルで小さい)

ということが言えます。

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定義③ 最終的に水と二酸化炭素に分解される!!

微生物に分解されたものは全て生分解性!と言いたいところですが、
まだ定義があり、「水:H2O」、「二酸化炭素:CO2」に分解される必要があります。

つまり、構造が「H:水素」と「C:炭素」と「O:酸素」で構成しないといけないようです。
因みに、日本バイオプラスチック協会が生分解性樹脂として挙げている樹脂をざっくり確認しましたが、
私の見た限り、すべて上記のH、C、Oで構成されていました。

つまり、たとえ微生物に分解されても、金属など上記以外の分子にが入っている場合は
生分解性樹脂とは言えないようです。
まぁ、イメージすればわかる話かもしれませんが、
海や土壌で分解できたとしても、それが環境に悪いものだと意味ないですよね。。。
なので、水と二酸化炭素に分解というのを付けているのだと思います。

ここまでをまとめて、生分解性樹脂の定義を再度見直すと、

①単にプラスチックがバラバラになることではなく、
②微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、
③分解したものが「水」と「二酸化炭素」になる樹脂

というのも納得していただけたのでしょうか。

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生分解性樹脂の具体例について(ポリ乳酸:PLA)

では、どんな樹脂が生分解性樹脂と呼ばれているのでしょうか。
今回はポリ乳酸にスポットを当ててご紹介したいと思います。

ポリ乳酸(PLA)

恐らく最も有名で、最も研究が進んでいるものです。

「乳酸」という言葉を聞いたことはございませんか?
運動後に筋肉に溜まるとよく言われているものになります。
これは、人間の場合だと運動の際に糖が分解され、作られます。

実は、この乳酸という物質はでんぷんを発酵した際にも作ることができます(*1)。
それを利用して、植物のトウモロコシやサトウキビから乳酸をつくり、
それをポリマー化(今回だと乳酸をたくさん集めてつなげる、プラスチック化)ことで
ポリ乳酸をつくることができます。

(*1引用 「ポリ乳酸ってどうやってできるんだろう?」
https://www.fujitsu.com/jp/group/labs/resources/tech/techguide/list/corn/p02.html 富士通株式会社より)

具体的な商品として一例をあげると、
ユニチカ株式会社の製品「テラマック」があげられます。

(出展 ポリ乳酸の特徴:https://www.unitika.co.jp/terramac/how/ ユニチカ株式会社より)

上記のようにポリ乳酸はコンポスト(堆肥)中に入れることで跡形もなく分解されます。
また、ポリ乳酸はH、C、Oだけで構成されており、先ほどの定義通りですね!
分解物に関するデータ(水、二酸化炭素への分解)は見つけられませんでしたが、
この製品が日本バイオプラスチック協会から認証基準適合を受けていることから、
そこらへんも合格していると思われます。

このポリ乳酸、何が一番良いかというと、
生分解性を持ちつつ、バイオマスプラスチックであるという点にあります。

生分解性を持ちつつ、バイオマスプラスチックであるものは非常に少ないです。
(他のプラスチックだと、石油由来の生分解性プラスチックなど)
植物由来、かつ生分解性プラスチックということで注目を集めているといえます。

バイオマスプラスチックって?という方は下記記事をご確認下さいませ。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。
生分解性に関して、定義からしっかり確認し、
一つだけになってしまいましたが、ポリ乳酸を例にご説明いたしました。
この脱炭素化の中で、バイオマスプラスチックや生分解性などの言葉が流行ってはいますが、
言葉だけが先行し、意味も分からず。。。ということが多いと感じたので
自分なりに調べた上でこの記事を書いてみました。
これを読んだ方に何か知識が増えたのであればうれしく思います!もしこの記事が面白いと思った際は他の記事も見てみてくださいね!
本ページ内、具体例などは各協会・企業様のホームページ(HP)を参考にしております。
参考にさせていただいたページはリンクにて紹介しております。
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また、更新日時点での内容となりますため、内容が変わることもございます。
ご理解お願いいたします。
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